「弓の稽古はあずち(※的の背後に築いた土の山)に的を掛けて射るのか。また、巻藁の稽古もあるのか」
寅吉が答えた。
「的、巻藁で稽古することはなく、鎖帷子を着て面を被った人が向こうに立って、東西南北に逃げ回るのを追い回して射止める。だから、稽古の矢には先にむくろじの実(※球状の木の実)が付いている。なかなか当たらないものだ。百本に二、三本も当たるようになると、的に向けては百発百中となる」