#093
てんかんを治す法のこと

 

 ある人が尋ねた。

「三十ばかりの男なのだが、幼少の頃から二十歳頃までてんかんの病を持っていた。その頃は至って聡明な若者だったのだが、医療、加持を尽くして病を癒したところ、頭が惚けたようになってしまった。だが、ときどき意識がはっきりすることもあるらしい言動もあり、まったくの愚人となったようにも思えない。性欲はまったくない。これを治す方法はないか」

 寅吉が答えた。

「それはてんかんが変じてそのような病となったのだから、てんかんの治療法を用いるのがよい。ガラスを眼鏡のように切り、二重にして間に紅を溶いた水を入れる。こうして作った眼鏡を通して日光の下で病人の姿を見ると、たいていは肩から腰、あるいは腕の辺りに色が変わったところ、つまり、毒の集まったところが見える。

 その毒のあるところに墨で輪を描いて印を付け、その印の形に深さ二寸くらいの銅の縁をつくる。これを押し当てて、我慢できる限度まで沸かした焼酎を注ぐ。冷えたら布で吸い取り、また、熱い焼酎を注ぐ。

 これを繰り返せば、皮膚が赤く漆にかぶれたようになって悪い水が出る。これを何度も行えば徐々に毒が出て治るものだ」