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前の卯の年に私は四十四歳になった。俗にいう厄年である。
四十まり四つの齢を今年より 一と数えて万世を経む
(四十四の年齢を今年から一歳と数えて長生きしよう)
こう詠んで扇に書き付け傍らに置いておいたものを寅吉が見つけ、どのような意味かと尋ねたので意味を教えてやった。
「山人の年齢の定め方も同じ考え方に基づいているぞ」
「それはどういうことだ」
寅吉が答えた。
「はじめをどうやって定めるのかは知らないが、まず、一千歳とも一万歳とも定め、その数を百で割ってその一を一歳と定める。たとえば、一万歳の定めであれば、百歳を一歳とする。我が師は六百歳を一歳と定めておられたので、定命は六万歳であるらしい。
このように定めてその一念を少しも動かさず、生涯にわたって善行を積み、行をたててその願いを通す。定めた年数が経過すると、身を隠して本当の神となるらしい。また、人によっては無歳といって年を定めず、世のある限り生きると定めた人もいる」
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