#011
初午の祭のこと

 

「二月一日初午の日、

『今日は山でも初午だから賑やかなことだろう』

 と、言っていたが、どのように祭るのか」

 寅吉が答えた。

「まず二檀くらいに神棚を構える。上壇には稲荷神の神体になぞらえた髭のない若い男を据え、次壇にはその末社になぞらえた人々五、六人を据える。ふつうの神祭のように農具を供え、師は装束に身を包み、たすきを掛け、自ら供物を料理して供える。豊年を祈り、壇に上った人たちはその供物を食べてから壇を降りる。

 その後、稲荷の神体の役をした人が指揮を執って、末社になぞらえられた人たちは供えられた農具を手に取り、農民がすることの真似をする。田を打ち、種をまき、植え付け、草取り、刈り治め、稲を担ぎ、また馬に付けて帰るまでのことを行う」

 

はつ‐うま【初午】 2月の初の午の日。京都の伏見稲荷大社の神が降りた日がこの日であったといい、全国で稲荷社を祭る。この日を蚕や牛馬の祭日とする風習もある。 (広辞苑)